SMS認証とメール認証の違い
この記事の要点
SMS認証は携帯電話番号あてのSMSを、メール認証はメールアドレスあてのメールを、その人が受け取れるかを確かめる方法です 「どっちが安全か」は一言では決まりません。米国NISTの指針では、メールはログインの二段階目に使わず、SMSは条件つきで使える扱いです 費用は、SMSは1通ごとにかかり、メールは送り方によっては1通ごとにはかからないこともあります どっちを使うかは、登録のあと利用者に何で連絡するか(番号かアドレスか)で決め、取り消しにくい操作には認証アプリやパスキーも検討します
SMS認証とメール認証の違いは、確かめられる連絡先です。SMS認証は「その携帯電話番号でSMSを受け取れる人か」を、メール認証は「そのメールアドレスのメールを読める人か」を確かめます。たとえば登録のあと、請求や予約の連絡をメールで送るサービスなら、確かめておきたいのはメールアドレスです。どっちを使うかは、確かめたい連絡先を軸に、届きやすさ・費用・手間・弱点を重ねて決めます。
目次
SMS認証とメール認証の違いを表で比べる
観点ごとに、SMS認証とメール認証を並べた表です。出典はあとの節にあります。
| 観点 | SMS認証 | メール認証 |
|---|---|---|
| 確かめられること | その番号でSMSを受け取れる人か | そのアドレスのメールを読める人か |
| 届かない主な理由 | 電源オフ・圏外・送る回線 | 迷惑メールへの振り分け・受信の設定 |
| 費用 | 1通ごとにかかる | 送り方によっては1通ごとにかからない |
| 主な弱点 | 番号の乗っ取り・偽サイトへのコードの入力 | メールアカウントの乗っ取り・偽サイトへのコードの入力 |
| NIST SP 800-63B(第4版) | ログインの二段階目に条件つきで使える | ログインの二段階目には使わない |
確かめられること:番号を受け取れる人か、メールを読める人か
SMSは電話番号あてに届くので、ふだんはその携帯電話を持つ人にしか読めません。IPA(情報処理推進機構)の「[情報セキュリティ10大脅威 知っておきたい用語や仕組み](https://www.ipa.go.jp/security/10threats/ps6vr7000000auzz-att/yougoyashikumi_2022.pdf)」(2022年5月)も、この性質から、パスワードとSMSのワンタイムパスワードの組み合わせは多要素認証の要件を満たすと説明しています。
メールはパソコンでもスマホでも読めるため、メール認証では特定の端末を持っているかまでは分かりません。メールのパスワードが漏れれば、他人もそのメールを読めます。
届きやすさ:届かない理由がそれぞれ違う
SMSもメールも必ず届くわけではなく、違うのは届かない理由です。SMSは、スマホの電源が切れていたり圏外にいたりすると受け取れません。配信会社が送る回線でも届き方が変わります(SMSの国内直収接続・国内網・海外網の違い)。メールは、迷惑メールのフォルダに入ったり、受け取る側の設定で受信を断られたりすると、利用者の目に入りません。
SMSとメールのどちらが届きやすいかを、一般的な数字で比べた一次資料は見つけられませんでした。自社で比べるなら、送った数とコードが入力された数を、送り方ごとに並べて見ます。届かないときの切り分けは、SMS認証が届かないときに確かめることにあります。
利用者の手間:差が出るのはパソコンで登録するとき
手間の差がいちばん出るのは、パソコンで登録するときです。SMS認証は届いたSMSのコードを入力するので、スマホが手元に要ります。メール認証なら、コードを入力するか確認用のURLを押すだけで、パソコンだけで登録を終えられますね。携帯電話番号を持っていない人は、SMS認証を使えません。
乗っ取りやフィッシングへの弱点:一次資料に書かれていること
安全性は、「SMSは危ない」「メールなら安心」のようには比べられません。一次資料に書かれていることを、出典ごとに並べます。
- [NIST SP 800-63B(第4版、2025年7月)](https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b.html):米国の連邦機関向けの認証の指針です。メールは、アカウントにパスワードだけで入れることや、届く途中で盗み見られるおそれを理由に、ログインの二段階目(別経路の認証)に使ってはならないとしています。SMSなど電話網を使う認証は「制限つき」の扱いです。使うには、制限のない別の手段を1つ以上用意する、リスクを利用者に知らせる、リスク評価で扱う、この方式が将来認められなくなったときの移行計画を作る、の4つすべてが条件です
- 同じ指針の、フィッシングへの強さの区分:コードを手で入力する方式は、SMSでも認証アプリでも「フィッシングに強い認証」に入りません。フィッシングに強いのは、暗号の鍵を使う認証だけとしています
- [IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026 個人編ハンドブック」](https://www.ipa.go.jp/security/10threats/omgdg50000008fi8-att/setsumei_2026_kojin.pdf):偽サイトでIDとパスワードに続けてワンタイムパスワードも入れさせる「リアルタイム型フィッシング」で、二要素認証を有効にしていてもログインされる手口を挙げています
- [警察庁「令和6年版 警察白書」](https://www.npa.go.jp/hakusyo/r06/honbun/html/aa3321000.html):SIMスワップ(SIMの再発行や番号の乗り換えを不正に行い、携帯電話番号を乗っ取る手口)について、令和4年9月に大手携帯電話事業者へ販売店での本人確認の強化を要請し、令和5年上半期にはSIMスワップによる不正送金の被害が激減したとしています
同じNISTの指針でも、アカウントを取り戻すためのコードや、アドレスを確かめるためのコードをメールで送ることは、禁止の対象外です。日本の民間のサービスに、NISTの指針に従う義務はありません。
認証アプリ(TOTP)とパスキーも、比べる相手に入れる
認証アプリ(TOTP)は、スマホのアプリに表示される、一定の時間ごとに変わるコードを入力してもらう方法です。認証アプリは電話網を通りません。大阪府警察の「[多要素認証を設定しよう](https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/saiba/cyber_shiryou/cybersecurity_tsushin/7/22505.html)」の表でも、SIMスワップに強い方式とされています。
パスキーは、端末に保存した暗号の鍵で本人を確かめる方法で、利用者は指紋や顔、端末のPINで操作します。IPAの2026年の資料は、パスキーが使える場合はできるだけ使うよう勧めています。
認証アプリもパスキーも、登録済みの人のログインに使う方法です。会員登録で番号やアドレスを確かめるのは、SMS認証かメール認証の役目です。
費用:SMSは1通ごと、メールは送り方しだい
SMS認証の費用は、「1回の認証で送る通数×月の認証回数(送り直しを含む)×1通の単価」で決まります。本文が1通に入る文字数を超えると、1回で2通分以上になります(SMSの文字数と料金の数え方)。
メール認証は、自社のメールサーバーから送るなら、送った数に応じた料金はかかりません(メール配信サービスを使えば、その料金がかかります)。認証アプリやパスキーは、送るたびの料金はなく、組み込む開発の費用がかかります。SMS認証の料金の比べ方は、SMS認証の料金とAPIの比べ方に書いています。
私の考え:安全さの順位より先に、連絡に使う宛先で決める
私は、SMS認証かメール認証かは、安全さの順位より先に、その利用者にこれから何で連絡するかで決めるべきだと考えています。登録のときに確かめた宛先が、そのままパスワードの再設定や、大事なお知らせの送り先になるからです。ログインや取り消しにくい操作に認証アプリやパスキーを足すかは、そのあとに考えます。
1つの番号で何度も登録されるのを防ぎたいサービスのように、携帯電話番号を本人の目印にするならSMS認証が合うと考えています。請求書やお知らせをメールで送るSaaSなら、登録はメール認証で確かめ、ログインの二段階目は別に選ぶ形もあります。
ULTIQUE SMSでSMS認証の費用を見積もる場合
ULTIQUE SMSの場合、初期費用・月額固定費・API連携の費用はかかりません。1通の単価は月の送信数で決まり、その月のすべての通数に当てはまります。
| 月の送信数 | 1通の単価・料金(税抜) |
|---|---|
| 〜100通 | 最低利用料金1,000円(100通分込み) |
| 101〜1,000通 | 10円 |
| 1,001〜5,000通 | 8円 |
| 5,001〜10,000通 | 7円 |
| 10,001〜50,000通 | 6円 |
| 50,001通〜 | 5円 |
たとえば月3,000通なら、3,000通×8円で24,000円(税抜)です。料金がかかるのは、送信先に届いたSMSだけです(配信がない月も、最低利用料金1,000円はかかります)。
会員登録・ログイン・取り消しにくい操作で分けて決める
SMS認証とメール認証は、どちらか1つに決めなくてもかまいません。場面ごとに確かめたいことと、使う方法の候補を並べた表です。
| 場面 | 確かめたいこと | 候補 |
|---|---|---|
| 会員登録 | 連絡に使う番号かアドレスが本物か | 連絡に使うほうに合わせて、SMS認証かメール認証 |
| ログインの二段階目 | いつもの利用者が操作しているか | SMS認証・認証アプリ・パスキー |
| 送金・登録情報の変更など | 取り消しにくい操作をしているのが本人か | パスキーなど、フィッシングに強い方法も検討 |
ULTIQUE SMSでSMS認証を送る場合
ULTIQUE SMSでSMS認証を送るときは、自社のシステムで認証コードを入れた本文を作り、APIで渡して送ります。見ておきたい項目は、次のとおりです。
- 接続:HTTPS(POST)・JSON形式。接続元のIPアドレスを制限できます
- 結果の通知:送信ごとに「届いた/届かなかった」が、指定したURLに返ります(コールバック)。通常は配信後数秒〜数分で、携帯電話会社の状況で遅れることがあります
- 宛先と回線:日本国内の携帯電話番号に、国内網(国内回線)で送ります。海外の番号の利用者には、メール認証など別の手段が要ります
お申し込みのあと、審査・送信元番号の登録・契約を経て、最短1週間〜10日で使い始められます。APIで使う場合は、別に自社側の開発の期間がかかります。
SMS認証とメール認証のQ&A
SMS認証とメール認証の違いは何ですか?
確かめられる連絡先が違います。SMS認証は携帯電話番号あてに認証コードを送り、その番号でSMSを受け取れる人かを確かめます。メール認証はメールアドレスあてにコードや確認用のURLを送り、そのアドレスのメールを読める人かを確かめます。
SMS認証とメール認証は、どっちが安全ですか?
米国のNIST SP 800-63B(第4版)は、メールをログインの二段階目に使ってはならないとし、SMSは別の手段を用意するなどの条件つきで使える扱いにしています。どちらも偽サイトにコードを入力させる手口には弱く、NISTの区分ではフィッシングに強い認証に入りません。取り消しにくい操作には、パスキーも検討します。
会員登録の確認は、メール認証だけで足りますか?
利用者への連絡をメールで送るサービスなら、アドレスを確かめる目的にはメール認証で足ります。携帯電話番号に連絡するサービスや、1つの番号で何度も登録されるのを防ぎたいサービスでは、番号をSMS認証で確かめます。
二段階認証にSMSを使うと、SIMスワップで乗っ取られるおそれはありますか?
おそれはあります。SIMスワップは、SIMの再発行や番号の乗り換えを不正に行って携帯電話番号を乗っ取る手口で、乗っ取られるとSMSの認証コードも他人に届きます。警察庁の令和6年版警察白書では、販売店での本人確認が強化された結果、令和5年上半期にはSIMスワップによる不正送金の被害が激減したとしています。
SMS認証の費用は、どう見積もればいいですか?
会員登録のときだけ送るか、ログインのたびに送るかで、同じ会員数でも月の通数は大きく変わります。費用は「1回の認証で送る通数×月の認証回数(送り直しを含む)×1通の単価」で見積もります。本文が70文字を超えると、1回の認証で2通分以上になります。
次に確かめること
- 登録のあと、利用者に何で連絡するか(携帯電話番号か、メールアドレスか)
- 認証をログインのたびに行うか、会員登録や取り消しにくい操作のときだけかと、それで決まる月の通数の見込み
- SMSやメールが届かない利用者のために、別の手段を用意しているか
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